富山新潟を結ぶ北陸本線沿いに走る8号線。荒々しい日本海を望むその険しい崖上の道の最も険しい、かつてその道が出来る前はその難所を渡ろうとして多くの人が海に流された、天険親不知(てんけんおやしらず)。天険とは「天下一険しい」という意味でしょう。
ここからスタートです。
実はこの親不知、能登で会った若いライダーさんに「とても怖い道」だと聞いていましたので通るのを躊躇していました。傾斜があって細くてクネクネしていてトラックが異様に多い、日本一周していた初老の方が轢かれて亡くなった、自転車で通るのは危ないと。
しかしこれといった迂回路がない、ここを通らずに新潟へ抜けようと思えばそれこそ奥飛騨まで下りてゆかねばならない。完全に旅のルートが変わってしまう。そんな迷っている時に氷見の道の駅で出会った旅狂のMさんに「素晴らしい所だから絶対に行くべきだ、何ならハザードランプ点けて先導してやる」とまで言われて行くことに決めた。
通ってみれば何でもない、日曜日だということもあってトラックはほとんど通らない、車も少ない、余裕過ぎて不遜にも写真を撮りながら走った。閉鎖された暗いトンネルではなく海側が吹き抜けの半トンネル(洞門)なので明るく恐怖心も薄れた。
余裕過ぎた、と書きましたがやはり日曜日でトラックが少なかったのが大きな要因。そして富山県側からだとほとんど下りになるのでそれも大きい。新潟県側だと緩やかではあるが上りになります。
自転車と歩行者だけひとつの洞門を回避して「天険」へ直通できる。
自動車のプレッシャーのない素晴らしい道。美しい日本海が眺められます。チャリダーの特権を貰ったようで嬉しい気分になる。
ウェストン像。親不知が「日本アルプスの起点である」として訪れたらしいイギリスの宣教師。
--- 道路完成を記念し、道路の上にある日本海に面した一枚の大岩盤面に「如砥如矢」(とのごとくやのごとし)と刻まれた。その意は、「(この道路は)砥石のように平らで、矢のように真っ直ぐである。」と賞賛したものである。--- ウィキペディアより引用
天険には休憩用の東屋があってそこから崖にへばりつくような8号線と荒々しい日本海が一望できる。
たまたま会った登山家のお兄ちゃんに写真を撮ってもらいました😃
ここからもまだ親不知道路は続きます。親不知の後は子不知へと続きます。
距離にして2〜3qくらいでしょうか。あまり長くは感じなかった。狭い洞門も短くとぎれとぎれに連なっているのであまり閉塞感も感じなかった。でもやはり富山県側からの下りだったのも快適に走れた大きな要因です。
これならば148号(糸魚川静岡構造線)の糸魚川からの入口すぐの6qにも渡って連なる洞門の方がはるかに怖かった。
それでも平日のトラックが多いときはヤバいかもしれない。日本一周のチャリダーには避けては通れない道なので、通るには晴れの明るい日の日曜日の午前中をおススメします。
