2016年04月28日

外界と繋がったままにして一人 


今読んでいる本

僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って (DOBOOKS) -
僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って (DOBOOKS) -

生きる意味と死の恐怖に煩悶しながら生きた著者の半生を哲学的な文章で綴った本です。裕福な家に育ち東京大学に通いながらもぼろアパート、路上生活をみずから選び最後にたどり着いたのが山小屋での生活。

この本のある一節を抜粋します。

都会にいながら「一人の時間」を確保するのは、そんなに難しいことではないかもしれない。喫緊の用事を済ませ、携帯電話の電源を切って、部屋の扉にカタリと鍵をかければ、何か思案に耽るにはとりあえず事足りる。

山小屋の「一人の時間」はそれとは少し異なる。部屋に鍵をかけ、外界を遮断して一人になるのではなく、外界と繋がったままにして一人なのだ。雑事を締め出し、雑念を追い払い、ようやく作り上げるかりそめの一人の時間ではなく、全体性を持った本物の一人の時間である。


この一節のなかの「外界と繋がったままにして一人」という部分に、わたしのチャリ旅のすべてが語られているように思ったのです。

孤独になりたい、でも孤独とは遮断ではなく逃避でもなく、ではなんだろう、人が嫌いではないが人に合わせる窮屈さから逃れたい、この気持ちをどう表現すれば誰かに良く伝わるだろうか・・・。

「外界と繋がったままにして一人」、この表現が最高です。


わたしはわたしのままで世界に触れて

世界もわたしに触れる

日差しを浴びた木々がきらきらと光って

わたしはずっとそれを見つめている

いつまでもいつまでも

飽きもせずにいつまでも佇んでいるわたしが滑稽でも

わたしはいつまでもわたしでしかない


テントの中で、薄い布きれ一枚が外界の冷たい空気と虫からわたしを隔てている。この瞬間にわたしが外界と繋がっているか否かは不明である。しかし不明であるがゆえにわたしは迷い恐れる、この迷いと恐れが肉体の声となって薄い布きれを透って、夜の闇のときに風にざわめく藪のなかに消えてゆく。


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posted by チャリダー詩人 at 06:13| Comment(0) | チャリンコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月26日

なぜ自転車の旅なのか


仕事をやめて放浪しようと決めた時に、最初に浮かんだのは「軽バン」での旅でした。

車ならば宿が取れなくても、適当な軒下がなくてもとりあえず寝ることができる。そして動力が機械なので体力を消耗しない、荷物をたくさん積めるからバーベキューだってできるし、防寒の備えも十分にできる。

でもなにか心に引っ掛かった、その引っ掛かった不満の正体とは・・・そのぼんやりとではあるが間違いなく心に引っ掛かった不満の正体とは恐らく以下であったのだろう。


1.車は急に止まれない

晴れた日の川縁りを走っている最中に、「ああいい景色だなあ」っと心が揺さぶられても、車は急に止まれないのです。急ブレーキはもちろんのこと、路肩もない場所で車を停車させることはできない、それが例え山の小道であったにしても、車を停めるためにはもう一台通れる路肩を確保しないと、後ろからきた車にビーっと鳴らされるはめになる。

自転車なら、よほど車通りの多くて且つ狭い幹線道路かトンネル内以外なら、急停止できない場所などない。どこでも存分に止まってゆったりと写真撮影できます。

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2.いくらでも積める、ルールのないゲーム

人間とは不思議な生き物で、制限を嫌うくせに誰かに制限してもらはないと自分では制限できない、そんな不思議な生き物です。

その「制限の神様」の恩恵を一番受けるのが自転車です。積み過ぎれば走れません、走るためには何かを捨てなければいけない。その取捨選択のなかで迷い決断し、そして妥協する、しかしその妥協にはなにかしら重い荷物を脱ぎ捨てたような解放感がある。その解放感に孤独感がブレンドされれば・・・それがチャリ旅の快楽なのです。

車ではこの快楽は味わえない。いくらでも積めるということは「迷い」がない、迷いがなければ「決断」もない、決断しなければどこまでも中途半端な、捨てられない荷物を引きずったままのような気持ちで走ってゆかなければならない。この中途半端な気持ちは車でキャンプをしたときに存分に感じました。

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3.ガソリン代、駐車場代、フェリー代、とにかくお金が掛かる

ガソリン代は言わずもがな、キャンプ場に泊まるにしても駐車場代が掛かる。自転車なら500円で泊まれるキャンプ場が車持込みなら数千円取られる場合もある。そしてフェリーになると例えば沖縄まで行くとなると自転車なら人も含めて一人2万円程度の運賃が車なら8万円近く掛かったりする。自転車というのは車輪が付いているから車両のようだがフェリーでは「大きな荷物」くらいの扱いである。どこに行くにも泊まるにも掛かるコストは車に比べれば自転車はめちゃくちゃ安い。

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4.風を感じない

チャリ旅の一番の醍醐味は「風を感じる」という爽快感です。特にに晴れの日に田舎道を走る気持ちの良さは言葉には言い表せないほどの快感です、これも風を体中で感じられればこその快感です。バイクだとヘルメットを被っているから頬に当たる風を感じられないし、車だと夏は暑いから「クーラーの風」、冬は寒いから「ヒーターの風」、と爽快感とはほど遠い。これは阿蘇山のパノラマラインを走っているときに強く感じました。

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以上が心に引っ掛かっていた主な点です。もちろん車のメリットは多くあります、しかしそのメリットがわたしのようなチャリダーにとってはデメリットになってしまうのです。

だから自転車で旅をしたいのです、しかも快適に走れる装備で走りたい、どんな坂道でも自転車に乗ってペダルを漕いで越えたい、それでなければ風を感じることができないから。


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posted by チャリダー詩人 at 22:58| Comment(0) | チャリエッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする