旅の前に想い浮かべるのは
テントの前にミニテーブルを置いて
海や林や湖や、見える景色を眺めながらのんびり酒を飲んでいる
といった情景だ
決してどこかの名所の、美しい景色を眺めている自分ではない
今まで色んな名所に行った
自転車で行ける場所、歩いてしか行けない場所
自転車で行き着いた先の峠や、丘や岬の景色は
上り詰めた達成感と安堵感が相まって印象的に
いつまでも記憶のなかに残り続けるが
自転車を下りてから、何十分もかけて歩いてたどり着いて見た景色は
それほど鮮明に思い出されない
なぜだろう
いわゆる観光名所には、何か"引きずられて行った感”がある
せっかくここまで来たのだから
とか
みんなに自慢したい
とか
本当に行きたい名所もあったから一概にはいえないが
大抵はそんな気持ちが少しあったように思う
後になって思えば、行っておいて良かったな
なんて思ったりするのだが
現に行く前のその瞬間には、何か面倒くさいような
変な義務感に背中を押されるような感覚があったのは確かだ
走っていていつも思うのは
「早くキャンプ場に着きたい」
ってことだ
早く着いて荷物を下ろして
着替えてビールを飲んで、ゆっくり休みたい
なんて強く思ったりする
道中に名所があったりすると
ラッキーであるはずなのだが、心の奥で
「面倒くさい」
と囁く声を感じる
それより早く目的地に着きたい、と心がはやる
こんなことをいえば
それなら旅なんて最初からせずに、家でのんびり過ごしてればいいじゃん
なんて誰かに突っ込まれそうだが
そこはバランスなのだ
路傍の景色を楽しみながら走るのは楽しい
たまに名所を巡るのもいい
美味いものを食うために遠回りするのもいい
その色んな楽しみのなかでも、わたしにとっては
テントに座ってゆっくり酒を飲む時間
これが他の楽しみと同じか、それ以上の比率で
わたしの旅を構成しているだけだ
人それぞれに、それぞれ旅の仕方がある
旅のバランスがある
本当に自分がしたい旅を
心の奥ではみな知っている
旅のバランスをとれるのは自分だけだ
自分だけの旅なのだから

※この旅のつぶやきシリーズは纏まれば本にしたいと思ってます。


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posted by チャリダー詩人 at 14:21|
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旅のつぶやき 2019
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